花のように
この愛しさが、花のように咲き誇ればいいのに
ロイは、いつものように机に向かい、エドワードの報告書に目を通していた。
それを、エドワードは見詰める。
少し俯いた顔に掛かる漆黒の髪、僅かに伏せた瞳、引き結ばれた唇、書類を捲る指先、それらに目を奪われたまま瞬きさえ忘れていた。
視線に気付いて、ロイが顔をあげる。
「どうかしたか?」
「えっ・・・どうもしねーよ」
慌てて答えるエドワードの顔は、気恥ずかしさのためか、微かに赤く染まった。
それに、ロイが笑みを零す。
「報告書は問題ない、ご苦労だったな」
「おう」
机の端に置いてある本を手に取り、エドワードに差し出す。
「新しい文献だ」
「サンキュー」
それを受け取り、表紙に目を向ける。
こうして訪れる度に渡される情報は、いつも必ず用意されていて、それは帰って来るのを待っていくれるようだった。
それが嬉しくて、エドワードから笑みが漏れる。
見詰めるロイも、優しい笑みを浮かべていた。
特別な言葉を交わさなくても
木漏れ日のような君の笑顔が
包み込むようなアンタの優しさが
傍らにあればいい
咲き誇った愛しさが、お互いを包むから
Novel-F.A
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