嫉妬って?



なぁ・・・嫉妬って、何?
そう言った俺の前には、己の感情を持て余したような大佐の顔。



痛いぐらいに腕を掴んで、俺を睨み付ける大佐を、困惑した思いで見つめた。

「エド、何を話していたんだ?」

そんな問いにも困惑するばかりで・・・

「・・・どうしたんだよ」

尋ねた声は微かに震えていた

「中尉達と何か話していただろう?」

問い掛ける大佐の声はいつもより低くて、表情は険しくて、怖くて逃げだしたかった。だけど、腕を掴む大佐の力は強くて、それはかなわなかった。

「・・・たいさ?」
「あんな君の顔は初めて見たぞ」

大佐が何を言いたいのか見当もつかない・・・ただ、怖かった。けれど、大佐の問いには答えなくてはと口を開いた。

「・・・大佐のこと」

微かに震えている唇を動かし、それだけ言葉にした。
大佐の顔が呆気にとられた表情に変わる。

「私の・・・こと?」

腕を掴む力が緩んだと同時に、大佐の険しい雰囲気も緩んだ。それに内心で安堵の息を吐いた。

「そうだよ・・・俺が出会う前の大佐の話」
「そんな話で何故あんな笑顔を?」

大佐は納得がいかないのか、訝しげに俺をみつめる。

「・・・嬉しかったんだよ、俺の知らなかった大佐の話が」

顔が赤くなっているのを自覚しつつ、呟くように答えた。次の瞬間には大佐に抱き締められていた。

「エド」

俺の名前を呼んで強く抱き締めてくる大佐に、ますます困惑した。

「大佐、どうしたんだよ」

だから問い掛けた。

「すまなかった、君が見たこともない笑顔で話しているから・・・嫉妬した」

嫉妬って・・・大佐が俺に?でも、嫉妬って・・・?
思わず大佐に聞いていた。

「なぁ・・・嫉妬ってなんだ?」

その時の大佐の顔は、間抜けとしか言い様がなかった。

「エド・・・」

俺の名前を呟いて、脱力するようにうなだれた。
訳がわからない俺は困惑するばかりで、とりあえず呼んでみる。

「大佐?」
「・・・・」

それでも大佐は無言で俯くだけで・・・

「エド・・・君は私が好きかね?」

己の感情を持て余したような顔で大佐が問い掛けて来る、その言葉に顔が熱くなった。きっと真っ赤に染まっているのだろう。

「あっ、あたりまえだろう!」

照れ隠しもあって、叫ぶような答え方になった。だけど、大佐はそんな俺を見て、優しく笑って額に口づけた。
それが何だかくすぐったくて微かに笑ったら、大佐が一層優しく微笑んだ。

「大佐、嫉妬ってなに?」

気になっていた事を、再び聞いてみた。そしたら大佐は苦笑を浮かべて囁いた。

「そのうち分かるさ」
「それ、答えになってない」

文句を言う俺を抱き締めて、唇に優しく口づけると、苦笑混じりに耳元で囁いた。

「説明などできないな・・・あえて言えば、私が君を愛していると言うことだよ、どうしようもない程にね」

最後の方は、どこか自嘲的な響きを含んでいて、胸が締めつけられた。
何故か切なくて、大佐の背に腕をまわして抱き付いたら、普段は呼ばない名前で呼びたくなった。

「ロイ」

大佐が微かに震えて、抱き締める腕の力が強くなる。
それから暫く、窓から差し込む暖かな光のなか、優しい腕に包まれていた。



あとがき

以前に書いて忘れ去っていた代物です、見つけたので載せてみました。
かなり意味不明&つっこみ所満載ですね - -;;



Novel-F.A
Top