一年目
「そうだ、これやる」
報告を終えたエドワードがそう言って差し出したのは、シンプルな包みの小さな箱。
「これは?」
いぶかしむような表情で、ロイが箱を見る。
それに、エドワードが苦笑を浮かべた。
「変なモンじゃないから」
「ふむ」
腑に落ちない顔のまま考えていたロイだが、エドワードから箱を受け取った。
「開けても構わないかね?」
「あぁ」
包みを解き箱を開くと、中にはペンが入っていた。
「使いやすかったからさ」
「それで、わざわざ?」
「お礼だよ」
思いがけない言葉にエドワードを見れば、照れたように顔が赤く染まっていた。
ロイは笑みを浮かべて、エドワードを見つめた。
「ありがとう、大切に使わせてもらうよ」
「おう・・・じゃあ、オレ帰るから」
「あぁ、気をつけて帰りたまえよ」
扉が閉まるのを見届けると、そっとペンを手に取った。
「思いも掛けない贈り物だな」
君を好きだと気付いてから1年目の日に、君から贈り物を貰うとは・・・
「少しは希望を持ってもいいだろうか?」
その日から、そのペンがロイの愛用品になった。
あとがき
お題3作目です・・・こんなのしか書けませんでした TT
Novel-F.A
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