大切なこと
「アスラン、ありがとう」
「キラ?」
「怪我してるのに、助けてくれたでしょ」
キラがふわりと微笑んで、アスランの額に巻かれた包帯に触れる。
「でも、あまり無茶はしないでよね」
「俺は大丈夫だよ」
「うん、分かってるけど、心配なんだ」
キラの指が、藍色の髪を掬うように辿る。
「君は、優しいから」
「優しいのはお前だろ」
「君が無事で、本当に良かった。こうして君に触れて、言葉を交わせて、それが大切な事だと改めて思った」
「大切な事か・・・」
「うん、大切に思える事が側にある。それが幸せなんだろうね」
再び戦火に見舞われて、改めて思う事、それが大切な事。
こんな簡単な事を人は忘れてしまう。
人はたやすく悲しみや憎悪に呑まれてしまう。
何も生まない負の連鎖。
「俺は、何を見ていたんだろうな」
顔を歪めて視線を伏せたアスランの頬に、キラの指が触れる。
「何かをしたかったんでしょ?そして君は気付いた、それでいいんじゃないかな」
「キラ?」
「何も考えずに人の言葉を鵜呑みにする、本当に怖いのはそういう事じゃないかな」
「何も考えずにか・・・そうだな、考えるからこそ人は過ちを正せるんだな」
「うん、僕だって何が正しいか分かってないかもしれない、でもこの国を滅ぼすのは間違ってると思うから」
「間違えたのは俺だ、彼の思惑に乗せられた」
「君は素直だからね」
キラがクスクスと笑う。
「君は昔から人を疑わないから」
「・・・お人好しのキラに言われたくない」
憮然とした表情でキラを睨む。
「そうそう、君はそうじゃなきゃ、塞ぎ込んでても何も変わらないよ」
優しい笑顔をアスランに向けた。
「アスラン、同じ道を一緒に行こう」
「あぁ、一緒に行こう」
あとがき
初めてのDESTINYネタです。二人を見てたら書きたくなりました。
やっと二人が揃いましたね〜やっぱり一緒がいいですね♪
Novel-SEED
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