照れ隠し
『好きかね?』
そう問えば、返ってくる答えは決まっていて・・・
『嫌い』
そっけないまでの一言。
幾度となく繰り返したやり取りは、もはや挨拶のようになってしまった。
ロイが何時ものように問い掛ける。
「好きかね?」
「・・・嫌いじゃない」
いつもと違う答えにロイは面食らった。
「・・・・・」
「・・・なんだよ」
「熱でもあるのかね?」
「はぁ?」
「では、腹でも壊したのか?」
「なに訳のわかんねーこと言ってんだ?」
体調不良で、おかしい訳ではないようだ・・・
「いつもの君からは『嫌い』としか答えがないのでね。体調でも悪いのかと思ったのだよ」
「・・・なんか、ひどい言いようだな」
「普段の君からすれば当然の反応だろ?」
「・・・」
エドワードにも自覚があるらしく顔を赤くして、ロイから視線を逸らす。
そんなエドワードのしぐさに、ロイは笑みを浮かべた。
「くくっ、本当にどうしたのだね?」
「っ・・笑うなー!」
エドワードは更に顔を赤くして叫ぶが、ロイは面白そうに笑みを浮かべたままだ。
「顔が赤いぞ」
「むぅ〜、帰る!!」
悔しそうに唇を引き結ぶと、勢いよくイスから立ち上がった。
しかし、ロイに腕を掴まれて引き寄せられる。そのまま優しく抱き締められ、温もりがエドワードを包む。
「なっ・・・・」
「どうした?」
驚きに言葉が出ないエドワードに、ロイは優しく問い掛けた。
「っ・・・」
「何かあったのか?」
「・・・・だけ・・」
「ん?」
エドワードが顔を真っ赤にして呟くが、ロイは聞き取れなかった。
「だから、会いたかっただけだよ!」
「エド・・・」
エドワードは自棄気味に言うと、さらに顔を赤く染めて俯いた。
『嫌いじゃない』は、会いたくて仕方がなかったのに素直になれないエドワードの意思表示・・・それがわからないロイではない。
俯いたままのエドワードをロイの腕が包み込む。ロイの顔には笑みが浮かんでいて、その瞳は愛しげに細められている。
「嬉しいことを言ってくれる」
「・・・///」
「私も君に会いたかったよ」
ロイは金の髪に優しく口づけると、エドがそっと顔をあげた。そこには、嬉しさを滲ませた優しい微笑。
好きだ・・・そう思った瞬間に言葉が滑り落ちていた。
「ロイ、好きだよ」
エドワードの言葉に一瞬驚いた顔をしたが、すぐに嬉しそうに微笑んだ。
「愛しているよ、エドワード」
ロイの手がエドワードの頬を包み、エドワードが微笑んだ。
ロイの顔がエドワードへと近付いて、静かに唇が重なった。
あとがき
変な文になってしまってます、スルーしてください(笑)