救い
『星の数程の出会い』よく聞く台詞だけど、望まない出会いがある。
それを実感するなんて思わなかった・・・
戦争に巻き込まれるなんて思わなかった、まして僕がMSに乗るなんて想像すらしなかった。
アスラン、君と戦うなんて望んでなかったのに・・・
「君コーディネーターだろ?」
周りの人達の敵意と警戒心、刺すような視線。
コーディネーターに向けられる感情が痛かった。
「戦闘になったらMSに乗って欲しいの」
嫌だと拒否したけれど
「でも、ストライクがなければ、この艦が落とされてしまうわ。安全な場所まで行かないと、
あなた達を降ろしてあげることもできないの。」
それはなに、どういうこと?
僕には友達を守りたかったらMSに乗って戦えと言っているようにしか聞こえない。
民間人の僕がなぜ戦わないといけないの?
僕がコーディネーターだから?
言葉使いは優しいけど、結局友達を盾にして強要しているだけでしょ。
僕に選択させる気なんかないんだ。
逃げられない現実が辛い。
「キラ、キラ・ヤマト?」
懐かしい君の声、切なくて胸を締め付けられる。
「一緒に来るんだ」
行きたい、一緒に行きたいよ。
でも、友達を見捨てることも出来ない。
「コーディネーターなんて気持ち悪い」
「コーディネーターのくせに触らないでよ」
心を抉るような彼女の言葉
「キラは別よ」
慌てて取り繕う言葉も白々しいだけだ。
なにより友達だと思っていた彼等に同じ空気を感じた。
神様なんていないと心底思った。
「イージスのパイロット友達なんだろ?」
ドクンと心臓が音をたてた。
何で知ってるの・・・
「お前は帰って来るよな?俺達友達だよな?信じてるからな」
友達?
そうだね、君達と僕は友達かもしれないね。
でもね、友達って確認するものじゃないよ。
それに、僕にとってアスランはとても大切な友達なんだよ。
信じてるって?
僕も君達を信じてたよ。
信じる術を無くしてしまったけどね。
「キラ、お前もこのまま一緒に来い」
アスラン、君は優しいね。
何度もその手を振り払ったのに、まだ僕を思ってくれるんだね。
でも君の手を取るには遅くなりすぎたんだ。
僕を占めるのは絶望だけなんだよ、ごめんね。
「お前何を考えている?」
訝しむように問われて驚いた、まさか気付かれるなんて思わなかった。
「キラ、無理にでも連れて行く」
アスランが近付いて来る。
君の怖いくらいに真剣な表情、懐かしい翡翠の瞳。
動く事も出来ずに見つめていた。
「ごめん・・・」
哀しさと痛みを含んだ君の声が聞こえたと同時に、首に痛みを感じて意識が途切れた。
あとがき
古い話で、すみません;
これも、いつ書いたのか覚えてません。ですがTVの前で
「連れてけー!」って叫んでたのは覚えてます(笑)