[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

暖かさと温もりと1




「こんちは~」

いつものように扉を開けたエドワードは、部屋の主の姿が見えない事に首を傾げた。
中尉は、『大佐は執務室よ』と言っていのだ。

「どこに行ったんだ?」

報告書を手に、ロイの机に近付く。
その時、机の横から見慣れた青い物が見えた。
慌てて駆け寄るエドワードの鼓動が早鐘を打つ。
そして見えたのは、床に倒れたロイの姿だった。

「大佐!」

急いで側に膝を付いて様子を伺う。

「・・・寝てる?」

ロイの顔色は良くないが、安らかな寝息をたてていた。

「・・・なんで、こんなとこで寝てんだ?」

床に突っ伏して寝ている今の状態は、普段のロイからは考えもつかないことだ。
エドワードは、どうしたものか迷ったすえ、とにかく起こそうと声を掛けた。

「大佐、起きろよ」
「・・・」
「こんなとこで寝てたら体に悪いだろ」
「・・・」

返事どころか、起きる気配さえない。

「おい、大佐ってば!」

少し声を大きくして、揺すってみるが反応は返ってこない。

「どうしよう」

暫く見つめて考えていたが、良い手立ては浮かんでこなかった。

「・・・中尉を呼んで来るほうが良いかな・・・そうだよ!中尉ならなんとかしてくれるじゃんか」

自身の言葉に納得したように頷くと、中尉を呼びに行こうと立ち上がった。
しかし、立ち上がりきる前に腕を掴まれて倒れそうになる。
それをなんとか踏み止どまり、腕を掴んだ相手を睨み付けた。

「何すんだよ、あぶねーだろ!」

睨み付けられたロイは、腕を掴んだまま覚束のない瞳でエドワードを見つめていた。

「だいたい、何時から起きてたんだ!」
「・・・鋼の?」
「なんだよ!」
「これは夢かね?」
「はぁ?」
「違うのか?」

ひょっとしなくても、寝ぼけてるよな・・・司令官がこんなんで大丈夫かよ

常にはない珍しい姿に、エドワードはじっと凝視していた。

「鋼の」
「わぁ!!」

ロイが名を呼ぶと同時に、掴んでいる腕を引き寄せたので、エドワードはそのままロイの胸に倒れこんでしまった。

「急に引っ張るな!」
「君も寝たまえ」
「・・・あんた大丈夫か?」

ロイの言動はかなり怪しい。
相手をしていては埒があかないため、エドワードは体を起こそうとした。
だが抱き締める力が強くて、身動きさえままならない。

「大佐、離せよ!」
「抱き心地が良いのだよ」

腕の力は一向に緩まない。



NEXT





Novel-F.A Index